甲状腺外来
当診療所では、甲状腺専門医による甲状腺外来を開設しています。
甲状腺は体のどこにあって何をしているものなのか、甲状腺の病気にはどのようなものがあるのか、また、甲状腺外来ではどのような診療が行われているのか、このページでご説明したいと思います。
1.甲状腺とはなんですか?
甲状腺と言われても、体のどこにあってどんな働きをしているのか、ご存じでない方も多いことと思います。まず、甲状腺の場所と働きについてご説明しましょう。
甲状腺の位置を教えて下さい
甲状腺はくびの前方、のどぼとけのすぐ下あたりにあります。大きさは縦に4センチぐらいで、蝶が羽を広げたような形をしています。重さは正常では15〜20グラムぐらいです。甲状腺のすぐ後ろには呼吸する空気の通り道である気管があり、甲状腺は気管に張り付くように存在しています。正常の甲状腺は、くびをさわってもはっきりと触れないほど小さいものですが、様々な病気で甲状腺が腫れてきます。このように大きくなった甲状腺を甲状腺腫(こうじょうせんしゅ)と呼びます。
甲状腺のはたらきを教えて下さい
甲状腺は甲状腺ホルモンを作り、それを分泌している臓器です。体の中には様々なホルモンが存在し、それを作る臓器がありますが、ホルモンを産生・分泌する臓器を内分泌腺と呼びます。甲状腺もそのような内分泌腺の1つです。ホルモンは一般にごく微量で体に大きな影響を与えるという特徴があります。甲状腺ホルモンは全身の新陳代謝を活発にする働きがあります。甲状腺ホルモンの働きで、体は各栄養素や水分の代謝がうまく回ることができます。これは、体を機械にたとえると、甲状腺ホルモンは機械の潤滑油にたとえることができます。甲状腺ホルモンが不足すると体の様々な代謝が障害されます。また、子供にとっては、正常な身体・知能の発達のために甲状腺ホルモンは必須のホルモンです。
甲状腺機能はどのように調整をうけていますか?
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甲状腺ホルモンは微量で大きな生理作用を発揮しますので、その産生・分泌は厳密にコントロールされています。甲状腺の働きを指揮している臓器は、実は脳の一部である下垂体という臓器です。下垂体からは甲状腺刺激ホルモン(英語でThyroid Stimulating Hormoneと呼ばれていますので、その頭文字を取ってTSHと略されて呼ばれています。)という別のホルモンが出されており、このTSHによって甲状腺機能は調節されています。正常では、甲状腺ホルモンが少なくなるとこのTSHの分泌が増加して甲状腺を刺激し、甲状腺から出る甲状腺ホルモンが増加します。逆に、甲状腺ホルモンが多すぎるとTSHの分泌が減少し、甲状腺も働きが低下して甲状腺ホルモンが減少します。このようにして、人の体ではいつでも体の状態に最も適した甲状腺ホルモン量が分泌されるように調節されています。
2.甲状腺にはどのような病気がありますか?
甲状腺にはいろいろな病気があります。症状が有るものも無いものもあります。治療を必要としないもの、薬で治療するもの、あるいは手術を必要とするものなど、その種類は多彩です。一般に甲状腺の病気を考えるときは、甲状腺に機能異常があるかどうか、また、しこりがある場合はそのしこりが良性か悪性かを診断していくことが大切です。
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甲状機能異常を起こす病気にはどのようなものがありますか?
甲状腺の病気の種類によっては、巧妙な正常のホルモン調節機構を逸脱して、甲状腺ホルモンの過剰や減少がおこることがあります。甲状腺ホルモンが多すぎる病態を甲状腺機能亢進症と呼び、代表的な病気にバセドウ病があります。あまりにもバセドウ病は甲状腺機能亢進症を示す病気として有名ですので、甲状腺機能亢進症があるとすぐにその患者さんはバセドウ病であると考えられがちです。しかし、実際には甲状腺機能亢進症の90%はバセドウ病ですが、のこり10%はその他の様々な疾患で生じることがありますので、正確な診断をうけて正しい治療を受けることが必要です。甲状腺機能亢進症では、全身の代謝が亢進しますので、体重の減少・発汗増加・暑がり・手のふるえ・イライラ・動悸・息切れなどの症状が生じます。これに対し、甲状腺ホルモンが少なすぎる病態を甲状腺機能低下症と呼び、代表的な病気に橋本病があります。こちらもまた、橋本病以外にも甲状腺機能低下症を呈する病気がありますので、注意が必要です。甲状腺機能低下症では、全身の代謝が低下しますので、顔や手足がむくむ・食べない割に体重が増える・気力が低下する・動作が鈍くなる・皮膚が乾燥する・毛髪が少なくなる・声が嗄れる・寒がりになるなどの症状が生じます。これらの甲状腺機能異常の症状は、自分で気がつくこともありますが、ゆっくりと病気が進行した場合には症状を自覚しにくく、お医者さんに指摘されて初めてわかる、あるいは治療を受けてみて初めて自分の具合が悪かったことに気がつくこともあります。いずれにしても、病態を正確に診断し、正しい治療を受けることが大切です。
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甲状腺が腫れているってどういうことですか?
甲状腺が腫れている状態を甲状腺腫と呼びます。正常では甲状腺はやわらかく小さいので、外からはっきりと触れることはありません。一方、甲状腺はくびの皮膚のすぐ下で気管の前面にありますので、何らかの病気で甲状腺の形や固さに変化が生じると触ってわかることも多いのです。このため、慣れた甲状腺専門医であれば、触診でかなりの甲状腺の病気を発見することができます。甲状腺腫には大きく分けて、甲状腺全体が腫れている「びまん性甲状腺腫」と、甲状腺の局所が部分的に腫れている「結節性甲状腺腫」があります。いずれにしても、甲状腺が外から腫れているのが見えたり、はっきりと触れたりする場合は、何らかの甲状腺の病気がある可能性がありますので、専門医による精密検査をお� ��すめします。
「びまん性甲状腺腫」といわれましたが、どのような病気がありますか?
甲状腺全体が腫れている状態を「びまん性甲状腺腫」と呼びます。この場合、甲状腺の腫瘍である可能性は低く、おもに甲状腺機能異常があるかどうかが問題になります。具体的には、甲状腺機能亢進症の代表疾患であるバセドウ病、甲状腺機能低下症となる可能性のある橋本病、甲状腺が大きくても甲状腺機能異常のない単純性びまん性甲状腺腫などがあります。これらの鑑別診断は、触診・血液検査・甲状腺エコーなどで行われます。
「結節性甲状腺腫」といわれましたが、どのような病気がありますか?
甲状腺の局所が部分的に腫れている状態、つまり甲状腺にしこりがある状態を「結節性甲状腺腫」と呼びます。大部分の患者さんはしこりがある以外に自覚症状はありません。この場合、最も大切なことはしこりが良性か悪性かの鑑別をすることです。大部分のしこりは良性結節ですが、一部に悪性のしこりもあるため、精密検査で両者を鑑別します。良性結節には、腺腫・腺腫様甲状腺腫・甲状腺嚢胞などがあります。一方、悪性結節の大部分は甲状腺癌です。この鑑別には、触診・血液検査・甲状腺エコー検査などを施行しますが、決め手となる検査は穿刺吸引細胞診です。この検査は、細い注射針を甲状腺のしこりに刺して吸引をかけ、針の中に採取されたしこりの細胞を顕微鏡で観察し、細胞の良性・� ��性を直接診断する方法です。くびに注射針を刺すことに抵抗があるかもしれませんが、痛みは採血と比べて違いはありません。ところで、甲状腺癌の9割以上は、進行が大変遅く治りやすい「乳頭癌」という種類の癌です。たとえば、甲状腺癌は手術5年後の生存率が90%を越えており、癌としては極めてたちの良い癌といえます。このため、甲状腺癌は、(たとえ周囲のリンパ節に転移があったとしても)ほとんど手術により治ることが多く、癌と診断されてもあきらめずに治療することが大切です。
3.甲状腺外来ではどのような診療が行われていますか?
ご自分やご家族により甲状腺の異常に気づかれた患者さん、あるいは健康診断やほかの医療機関でびまん性甲状腺腫や結節性甲状腺腫を指摘され当院に紹介された患者さんを、甲状腺専門医が診療しております。甲状腺腫の原因を診断するため、触診・血液検査・甲状腺エコー検査・穿刺吸引細胞診などを行います。そして、患者さん毎に甲状腺機能異常の有無、また、結節性甲状腺腫の良性結節・悪性結節の鑑別を行います。このような甲状腺専門医の精密検査による診断を元に、患者さん一人一人の病態を丁寧にご説明し、適切な治療方法や経過観察方法を患者さんと相談して決めていきます。甲状腺外来で治療可能な大部分の甲状腺機能異常症(バセドウ病や橋本病など)については、引き続いて薬などによる治療を行� ��ています。投与開始後2ヶ月は原則として2週に1回定期的に血液検査を行う必要があります。一方、甲状腺外来のみでは治療の完結しない疾患(甲状腺癌など)については、信頼の置ける甲状腺専門外科などにご紹介いたしております。
4.代表的な甲状腺疾患の患者さんへ
当院の甲状腺外来では、少しでも患者さんが自分の病気を正しく理解できる手助けになるように、代表的な甲状腺疾患に関する説明文を作成し、患者さんのお手元にお渡ししております。説明文には、病気の起こり方・症状・治療方法・一般生活に関する注意点などが書かれております。ぜひ、ご自分の病気のご理解にお役立て下さい。
バセドウ病
橋本病
結節性甲状腺腫
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